孫正義の幼少期からソフトバンクが世界的に知られるまで
孫正義の祖父母が日本へ移民した話。ソフトバンクグループ取締役で米国事業責任者を務めたロナルド・フィッシャーやソフトバンクの代表取締役社を務めた宮内謙など、ビジネスで関わりの深い人物への取材。ビルゲイツとの逸話など、30年以上にわたって孫正義を追い続けてきた井上 篤夫の集大成と言える一冊。
孫正義という人物を知るうえで、これほど濃密な本はないでしょう。
ソフトバンク恩人感謝の日
数々のエピソードが本書のなかで綴れられているが、その中でも個人的に印象に残ったものを3つ紹介したいと思います。
まず1つめが、恩人感謝の日。孫正義やソフトバンクをサポートしてくれた恩人への感謝を忘れぬようソフトバンクグループでは、ゴールデンウィーク中の平日1日を休日にして「恩人感謝の日」とされているようです。こういった趣旨で休日を設けている会社は中々ないのではないでしょうか。
3000通りのシミュレーション
携帯通信事業を成功させるために、営業戦略や基地局数、固定費が追加で必要となった場合など、3000通りの様々なシミュレーションを行ったといいます。成功にかける執念が表れているエピソードだと感じました。
会社が自ら成長していくためのシステム
幹部に社長や株主に近い視点を持たせるために、1、経営状況を明らかにする。2、株式報酬を付与する。3、株式報酬を開示して競争を意識させる。を実施して社員のモチベーションが向上したそうです。社員間の関係悪化を懸念する声もあったそうですが、孫正義氏がこのシステムを推進できたのは、海外での留学やビジネス経験が影響していると思います。日本では「和」を重視するため、アイデアが実施されにくいことも多いですから。