結婚=幸せなのか問題
人生の幸せの模範として「結婚」は今でも存在しているが、「ハッピーマニア」の連載当時(1995年~2001年)は、その価値観が強かった。ハッピーマニアの結末も一応結婚で締めくくられているが、結婚までの過程は世間一般の流れを踏まないし、主人公:カヨコ(aka:シゲカヨ)は結婚式当日、ウェディングドレスを身にまとい最後に描かれる独白が下記の引用である。結婚=幸せの図式に当てはまらない、その結婚を経たカヨコの珍道中が本作の後ハッピーマニアで描かれる。
ふるえるほどのしあわせってどこにあるんだろう
引用:ハッピーマニア-安野モヨコ 11巻
これからもそれを探していくのかな
相変わらずのぶっ飛び加減
ハッピーマニアおよび後ハッピーマニアの面白さの1つが、主人公:カヨコ(aka:シゲカヨ)のぶっ飛び具合じゃないでしょうか。周りも自分自身さえも振り回して、ハッピーに向かって猪突猛進するさまがとても気持ちいい。そのジェットコースターぶりが続編の「後ハッピーマニア」の冒頭から発揮される。1pで離婚を切り出され、2pでページ一面に困惑と怒りがないまぜになった得も言われぬシゲカヨの表情(フルカラー)である。本作では45歳になっているカヨコの猪突猛進ぶりに加えて、大人になったからこその迷いや過去の振り返りなど軽さの中に深みもある。
自分本位。良くも悪くも。
カヨコは自分の欲求に正直に生きるさまが魅力のひとつであるが、その枠に収まらない奔放さが人を傷つけることもある。(傷つけるというと大げさな表現かもしれないけど)実際、人気作品である一方、しあわせを求める自由さにイラっとくるというレビューも少なくない。正しさを重視している人には合わないかもしれないが、正しいだけでは人生ままならないと感じている人には、きっと楽しめるはず。筆者自身、カヨコみたいに結婚式当日に結婚以外の幸せについて考えることはないと思うし、恋愛体質でもないけれど、恋愛すると頭イカれてしまう自覚はあるため、めちゃくちゃ好きなマンガです。
前作のエピソードが引用されるシーンもあるけど、前作を読んでなくても普通に楽しめます。一巻はkindle会員だと無料で読めるので、ぜひ。
kindle会員でなくても、面白い恋愛マンガを読みたい時におすすめです。